心臓の周りに液体が溜まってしまったワンちゃん
2014.01.07
今回は、心臓のまわりに液体が貯まってしまったワンちゃんのお話です。
15歳のラブラドールレトリバーのワンちゃんが、お腹が急に張ってきたとの事で来院されました。
検査したところ、腹水が貯まっていました。腹水がたまる原因も色々ありますが、、
更に検査したところ、心臓の周りにも液体が貯まっていて、超音波検査で、心臓がうまく動けていない事がわかりました。
左は、超音波検査の写真ですが、青いラインが心臓の輪郭になります。
青いラインの外側の黒い部分(赤い矢印)が心臓の周りにたまった液体
(心嚢水)です。
心臓は心外膜という膜につつまれていますが、この膜と心臓の間に液体
が沢山たまって心臓が上手く動けず、血液の循環が上手くいかない状態
でした。この状態の事を『心タンポナーデ』といいます。
このワンちゃんの場合は、心タンポナーデにより心臓が上手く動けず、本来お腹から心臓にもどってくるべき血液が心臓に戻れなくなり、
お腹の血管から水分が漏れ出し、腹水がたまっていました。
心嚢水がたまる原因は、腫瘍、特発性(原因のわからないもの)、左房破裂や外傷などがあります。
このわんちゃんの場合は、腫瘍なども見当たらず、特発性と考えられました。
今回は治療として、心嚢水を胸に針を刺してぬきました。その結果、腹水もなくなり、元気になりました。
それ以降、心嚢水はたまっておりません!!
心タンポナーデの場合は、呼吸が荒いとかグッタリしてるとかの症状で来院される方もありますが、今回のワンちゃんは特に
そういった症状はありませんでしたが、心嚢水を抜いた後は元気になった!との事でした。
治療して初めて症状に気付くこともあると思います。
わかりづらい症状などもあるかと思いますが、何か少しでも気になるような事がございましたら、ご連絡下さい!
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目黒区 l 碑文谷 l 動物病院 l アビス動物病院
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