犬の下痢が長引くときに考えたい「慢性腸症」とは?[2026.01.05]
~なかなか治らない下痢、実は腸の病気かもしれません~
はじめに
「下痢が何週間も続いている」
「治ったと思ったら、またすぐに下痢をする」
このような長引く下痢で来院されるワンちゃんは少なくありません。
一時的な食べ過ぎやストレスによる下痢とは異なり、3週間以上続く、または繰り返す下痢がある場合、「慢性腸症」と呼ばれる病気が関係していることがあります 。
慢性腸症とは?
慢性腸症とは、
・下痢や嘔吐が慢性的(3週間以上)に続く、または再発する
・血液検査や便検査、画像検査などの一般的な検査だけでは明確な原因が見つからない
・腸の粘膜に炎症が起きていると考えられる
こうした特徴をもつ腸の病気のグループです 。
「慢性腸症」はひとつの病名ではなく、いくつかのタイプをまとめた呼び方になります。
慢性腸症の主な症状
ワンちゃんによって症状の出方はさまざまですが、次のような変化が見られます。
・軟便~水様便が続く
・下痢と良い便を繰り返す
・血便や粘液便
・嘔吐を伴うこともある
・食欲はあるのに痩せてきた
・元気が落ちてきた
「元気そうだから大丈夫」と思われがちですが、腸では慢性的な炎症が続いていることもあります。
慢性腸症にはいくつかのタイプがあります
近年の考え方では、慢性腸症は治療への反応性によって分類されます 。
① 食事反応性腸症
・フードを変更することで症状が改善するタイプ
・慢性腸症の中で最も多いとされています
・食物アレルギーや食物不耐性が関与している可能性があります
② 免疫抑制薬反応性腸症
・食事だけでは改善せず、炎症を抑える薬が必要になるタイプ
・腸の免疫バランスが崩れていると考えられています
③ 薬に反応しにくい腸症
・治療に反応しにくく、慎重な管理が必要なケース
・他の病気(腫瘍など)が隠れていることもあります
なぜ「まず検査」が大切なの?
慢性腸症と診断する前に、
・寄生虫や感染症
・異物や腫瘍
・膵臓や肝臓、内分泌の病気
など、下痢の原因になる他の病気を除外する必要があります 。
そのため、
・血液検査
・糞便検査
・レントゲンや超音波検査
などを段階的に行い、必要に応じて治療を進めていきます。
治療の第一歩は「食事」から
慢性腸症が疑われる場合、最初に行うことが多いのが食事の見直しです。
・新奇タンパク食
・加水分解タンパク食
・消化に配慮した療法食
などを一定期間試し、下痢が改善するかどうかを確認します。
実際に、慢性腸症の半数以上は食事だけで症状が落ち着くと報告されています 。
「下痢が長引く=様子見」は要注意
慢性腸症は、放置すると
・体重減少
・栄養不良
・重症化すると「蛋白漏出性腸症」
につながることもあります。
「少し軟らかいだけ」「元気はあるから」と思わず、下痢が続く場合は早めの受診が大切です。
まとめ
犬の下痢が長引く場合、慢性腸症という腸の病気が隠れていることがあります。
慢性腸症は、
・早めに気づき
・適切な検査を行い
・食事や治療を段階的に調整する
ことで、コントロールできるケースも多い病気です。
「なかなか治らない下痢」でお困りのときは、ぜひ一度ご相談ください。










































