🐶 散歩中に足をかばう…それ、膝蓋骨脱臼かもしれません|ヨークシャテリアさんの症例より
2025.03.14
はじめに
「歩き方がちょっとぎこちない…」
「後ろ足をぴょこぴょこ浮かせて歩いている」
そんな様子が見られたら、それは膝蓋骨脱臼(パテラ)のサインかもしれません。
小型犬に多いこの病気は、初期の段階では見逃されやすく、気づいた時には症状が進行していることもあります。
今回は、当院で手術を行ったヨークシャテリアの症例をご紹介します。
診察のきっかけと初期対応
ご来院されたのは、2歳のヨークシャテリアの女の子。
ある日、お散歩中に左後ろ足をかばうような歩き方をするのを飼い主さまが見つけてくださいました。
診察と触診の結果、後ろ足の両方で膝蓋骨脱臼が確認されました。
膝蓋骨(ひざのお皿)が本来の位置から外れてしまうこの病気は、特にトイプードルやチワワ、ヨークシャテリアなどの
小型犬でよく見られる整形外科疾患です。
初期段階として、抗炎症薬の処方と経過観察を行いましたが、症状の改善がみられず、
飼い主さまと相談のうえ、手術を行うこととなりました。
手術の内容と経過
アビス動物病院では、整形外科の専門獣医師を招いて外科手術を行っています。
今回は、より症状が強く出ていた左後ろ足から手術を実施しました。
手術は無事に成功し、術後も経過は良好。
痛みの管理や運動制限、再脱臼予防のためのケアを丁寧に行い、4日後には元気に退院されました。
膝蓋骨脱臼の進行と今後の治療方針
膝蓋骨脱臼は、自然に治ることはほとんどなく、進行すると以下のようなリスクがあります:
- 関節炎の発症
- 靭帯の損傷
- 歩行異常や慢性的な痛み
今回のように症状が持続している場合は、外科的治療が効果的です。
このワンちゃんも、今後のバランスを考慮して、約3ヶ月後に反対側(右後ろ足)の手術も予定しています。
アビス動物病院からひとこと
膝蓋骨脱臼は、小型犬にとって非常に身近な整形外科の病気です。
「何となく歩き方が変」と感じたら、早めの受診が将来的な関節トラブルの予防につながります。
当院では、症状の程度やその子の生活環境・性格に合わせた治療プランをご提案しています。
必要に応じて、整形外科専門の先生による手術対応も行っております。
ワンちゃん・ネコちゃんの歩き方や動きに少しでも違和感があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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