会陰ヘルニアのワンちゃん
2025.04.15
11歳のヨークシャテリアの男の子が、お尻の左側が腫れているとのことで来院されました。
診察したところ、会陰ヘルニアを起こしていました。会陰ヘルニアとは、お尻の筋肉が薄くなり、その隙間からお腹の中の臓器(腸や膀胱、脂肪など)が飛び出してしまう病気です。今回の場合、腸の一部がその隙間に嵌まり込んでいました。
さらに、聴診で心臓の雑音が聞こえたため、検査を行ったところ、僧帽弁閉鎖不全症という心臓病も患っていることがわかりました。
会陰ヘルニアの手術を行う予定でしたが、まずは心臓病の治療を優先することにしました。心臓の状態が安定してから手術を行う方が、麻酔のリスクを減らすことができるからです。
会陰ヘルニアがあると、排便が困難になることがあります。排便時にいきむことで血圧が上昇し、心臓病が悪化するリスクもあります。
心臓病の薬を飲み始めてもらい、状態が安定してから会陰ヘルニアの手術を行いました。手術は無事に成功し、お尻の腫れはすっかりなくなり、元気に退院することができました。
会陰ヘルニアでは、お尻の腫れや、血便、便がしづらい、尿が出ないなどで来院されることがあります。
放置すると、腸閉塞や膀胱破裂など、命に関わる合併症を引き起こす可能性もあります。
また、高齢のワンちゃん、ネコちゃんは、複数の病気を抱えていることが少なくありません。今回ののように、一つの病気に隠れて別の病気が見つかることもあります。
当院では、総合的な診察を行い、それぞれのワンちゃん、ネコちゃんに合わせた最適な治療を提供しています。ご心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
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