犬の僧帽弁閉鎖不全症|ステージごとの治療方針[2025.08.15]
はじめに
僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)は、進行度(ステージ)によって治療の内容や必要性が大きく変わります。
今回は、ACVIMステージ分類に沿って、それぞれの段階でどのような治療や管理を行うのかをご紹介します。
ステージA:将来の発症リスクがある段階
この段階ではまだ心臓に異常はありませんが、将来MMVDを発症する可能性が高い犬種(キャバリア・マルチーズなど)が含まれます。
治療は不要ですが、年1回以上の健康診断と聴診によるチェックをおすすめします。
ステージB1:心雑音はあるが心拡大がない段階
この段階では症状もなく、心臓の大きさも正常範囲です。
治療は行わず、定期的な心臓検査(心エコー・レントゲン)で経過を観察します。
検査間隔は6〜12か月ごとが目安です。
ステージB2:心雑音+心拡大があるが無症状の段階
この段階からは薬による治療を開始します。
主に使用されるのはピモベンダン(強心薬)で、心臓のポンプ機能をサポートします。
この薬を早期に始めることで、症状が出るまでの期間を延ばせることが報告されています。
また、安静時呼吸数のモニタリングも重要です。
ステージC:症状が出ている段階(心不全期)
咳・呼吸困難・運動不耐性などの症状が見られる段階です。
内服薬(利尿薬、強心薬、ACE阻害薬など)を組み合わせて症状をコントロールします。
急性の呼吸困難時は酸素吸入や入院治療が必要になることもあります。
この時期は特に、飼い主さんによる自宅での呼吸数チェックが重要です。
ステージD:難治性心不全の段階
通常の治療では症状が十分にコントロールできない段階です。
複数の利尿薬の併用や投与量の調整、入院による点滴治療などが必要になります。
生活の質(QOL)を保ちながら、できる限り快適に過ごせるようサポートします。
外科手術について
近年では、外科的に僧帽弁を修復する「僧帽弁形成術」も国内で行われています。
すべての症例が適応ではありませんが、適応条件を満たす場合は手術によって長期的な予後改善が期待できます。
当院では、外科手術を希望される場合は専門施設をご紹介可能です。
おわりに
MMVDは早期発見と適切な時期での治療開始がとても大切です。
愛犬の健康状態や生活スタイルに合わせて、最適な治療プランをご提案します。
気になる症状がある場合は、早めにご相談ください。










































