犬の乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)について〜飼い主さんが知っておきたい基本情報〜[2025.10.17]
乳腺腫瘍ってなに?
乳腺腫瘍とは「おっぱいの組織にできるしこり」のことです。
特に避妊をしていない女の子のわんちゃんに多くみられます。
見た目や触った感じだけでは、良性か悪性かを区別することはできません。
👉 一番大切なのは「早めに病院で診てもらうこと」です。
どんなサインに気づけばいい?
- お腹の乳首のまわりに「小さなしこり」ができた
- しこりが赤くなっていたり、潰れて液が出ている
- いくつもコロコロした粒が並んでいる
こうした変化に気づいたら、すぐに動物病院で相談してください。
犬の乳腺腫瘍の特徴
犬の乳腺腫瘍のおよそ半数は良性ですが、**残りの半数は悪性(がん)**です。
さらに悪性のうち、転移をするものはその中の半数程度といわれています。
ただし、良性であっても時間がたつと悪性に変わることがあるため、「小さいから大丈夫」と放置しないことが大切です。
どうしてできるの?
・女性ホルモンの影響
・避妊をしていないこと
・年齢が上がること
そして、初回の発情(ヒート)がくる前に避妊手術を行うと、乳腺腫瘍の発生率がわずか0.5%まで低下することが報告されています。
これは非常に大きな予防効果といえます。
調べる方法
1.触って確認
獣医師がしこりの数や大きさ、周りのリンパ節を確認します。
2.画像検査(レントゲン・超音波など)
転移がないか、しこりの性質を詳しくみます。
3.細い針で細胞をとって調べる(細胞診)
乳腺の場所にあっても、乳腺腫瘍でないこともあるので、細胞診検査で確認が必要です。
確定診断は、手術でしこりを取って病理検査をすることで行います。
治療の基本は「手術」
乳腺腫瘍の治療は手術でしこりを取ることが中心です。
- しこりの数や場所によって、部分的に取るか、片側を全部取るかなどを決めます。
- 「しっかり取り切れたかどうか」が、再発や長生きに大きく関わります。
手術以外の治療はある?
- 抗がん剤や分子標的薬といった薬の研究も進んでいますが、現時点では「手術ほど効果が確実な治療」はありません。
- ただし、進行したケースでは薬を併用することもあります。
飼い主さんができること
・月に1回のセルフチェック
わんちゃんのおっぱいの列を、そっと指で触って「しこりがないか」確認しましょう。
・早めの相談
気づいたらすぐ動物病院へ。
・定期健診
手術をした子も、半年〜1年ごとの再チェックがおすすめです。
まとめ
犬の乳腺腫瘍は、早めに気づいて適切に対処すれば十分に治療できる病気です。
良性・悪性を見分けるには検査が必要ですので、「おっぱいにしこりがあるかも?」と思ったら、まずは獣医師にご相談ください。
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