犬の脾臓腫瘍(ひぞうしゅよう)について 〜飼い主さんが知っておきたいポイント〜[2025.10.21]
脾臓腫瘍って何?
「脾臓(ひぞう)」とは、お腹の中で赤血球などの血液成分や免疫細胞を扱っている臓器です。
犬で脾臓に「しこり」や「腫れ(腫瘤)」ができると「脾臓腫瘍」と呼ばれます。
この脾臓腫瘍には、良性のもの(手術で取り除けば経過の良いもの)と、悪性(がん)のものがあります。
中でも悪性の中で特に知られているのが「犬の脾臓血管肉腫(英語:canine splenic hemangiosarcoma)」です。
つまり、「脾臓にしこりや腫れがある=必ずがん」というわけではありませんが、油断できないのも事実です。
早めにチェック・診断をすることが非常に重要です。
どんなサインに気をつければいい?
脾臓腫瘍があるとき、必ずしも明らかな症状が出るとは限りません。
以下のような変化があれば注意しましょう:
・いつもと比べて元気がない、食欲が落ちている
・お腹がふくれている・硬くなっている・パンパンに見える
・目や口の粘膜がいつもより白っぽい(貧血の可能性)
・急に倒れた・突然ぐったりした(脾臓が破れて出血している可能性)
また、健康診断でレントゲン検査や超音波検査を行うことで見つかることもあります。
見た目では分からないため、定期的な検査で偶然見つかるケースも少なくありません。
もし「なんだか変だな」と感じたら、早めに動物病院へご相談ください。
特に脾臓が破れてお腹の中に出血している場合は、緊急手術が必要になることもあります。
診断はどうやるの?
脾臓腫瘍を調べるために、次のようなステップがあります:
1.触診・全身検査
お腹の中を触って違和感がないか、貧血や出血や腫れがないか確認します。
2.血液検査・画像検査(超音波・レントゲンなど)
脾臓の腫れやしこりの有無、内部出血の有無を調べます。超音波が特に有用です。
3.手術・病理検査
多くの場合、確定診断には「脾臓を取り出して病理検査に出す」ことが必要です。手術が治療にもなります。
治療はどうするの?
脾臓腫瘍の治療は、主に以下のようになります:
・手術(脾臓摘出):脾臓にしこりや腫瘍がある場合、まずは手術で摘出することが基本です。特に出血していたり、破裂のリスクがある場合は緊急手術になります。
・術後のケア・補助治療:悪性腫瘍(特に血管肉腫)の場合、手術だけでは再発・転移のリスクが高いため、化学療法(抗がん剤)などの補助治療を検討することがあります。
実際に、手術後21日以内に化学療法を開始した方が生存期間が延びるという研究もあります。
飼い主さんができること
・月に1回のお腹チェック:お腹を触って、硬さやしこり、張りがないか確認しましょう。
・変化を見逃さない:元気や食欲、体のハリの変化を日々観察することが大切です。
・定期健診・血液検査:特に中〜高齢のわんちゃんでは、定期的な検査が早期発見につながります。
・もし手術になったら:手術前後の体調管理(食事・休養)と、術後フォローをしっかり行いましょう。
まとめ
犬の脾臓腫瘍は、見た目では良性か悪性か分かりにくい病気です。
しかし、健康診断や定期検査で偶然見つかるケースも多く、早めの発見・手術で良い経過をたどることも少なくありません。
「お腹がふくらんでいる気がする」「最近元気がない」と感じたら、早めに獣医師にご相談ください。
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