猫の甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう) 〜飼い主さんが知っておきたいポイント〜[2025.10.28]
甲状腺機能亢進症ってなに?
甲状腺の結節性過形成、腺腫、腺癌によってホルモンが過剰に分泌する疾患です。
高齢猫での発生が多く、8歳未満での発症は5%未満という報告もあります。
どんなサインに気づけばいい?
・食べる量が増えているのに痩せてきた
・活動的になったり落ち着きがなくなったり
・お水をたくさん飲む/トイレの回数が増える
・お腹が空いているのに体重が減っている
・心拍数が速かったり、心雑音が聞かれたり
これらにあてはまるときは、早めに動物病院で検査を受けましょう。
検査・診断はどうするの?
1.血液検査
甲状腺ホルモン(T4)の値を測定します。
2.心臓・腎臓など他の臓器のチェック
甲状腺ホルモンの過剰分泌により、心臓に負担がかかったり、隠れていた腎臓病が明らかになることがあります。
治療の選択肢は?
主な治療法として、次の二つがあります:
・薬物療法
代表的にはメチマゾール(Methimazole)という薬を使い、甲状腺ホルモンの産生を抑えます。毎日飲ませる必要があります。
薬でホルモン値を安定させながら、体調や腎臓の状態を定期的に確認していきます。
・手術(甲状腺摘出)
抗甲状腺薬での治療によって甲状腺機能亢進症が改善し、慢性腎臓病がみられない場合には、患側の甲状腺摘出も選択肢となることがあります。
治療後に気をつけること
・治療後に腎臓の数値が悪化することがあります。甲状腺機能亢進症では、治療によって隠れていた腎臓病が現れることがあります。
・治療によって甲状腺の働きが低くなりすぎる(機能低下症)こともあります。
・治療後も定期的な血液検査でホルモン値・腎機能を確認することが大切です。
飼い主さんができること
・年齢10歳以上になったら定期検査を
シニア期の猫ちゃんは年1回以上の健康診断がおすすめです。
・日常の変化を見逃さない
食欲・体重・飲水量・トイレ回数など、小さな変化にも気づいてあげましょう。
・治療の継続とサポート
お薬を忘れずに与え、定期検査を守ることが長生きの鍵になります。
・他の病気にも注意
心臓病・腎臓病・高血圧など、甲状腺機能亢進症と併発しやすい病気があるため、総合的なケアが大切です。
まとめ
猫の甲状腺機能亢進症は、高齢になるほど増える病気ですが、早期発見と適切な治療でコントロールが可能です。
「最近少し痩せた」「元気すぎる」など、ちょっとした変化も大切なサイン。
気になることがあれば、早めに獣医師へ相談しましょう。
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