肺葉捻転のワンちゃん
2024.10.22
最近、当院に一匹のペキニーズの女の子が来院しました。飼い主様からは「元気がない」との報告があり、さらに数箇所で吐いた跡も見受けられました。初診時には吐き気を緩和する治療を行い、その後ご帰宅いただきました。しかし、2日後に再度来院されることとなりました。
再診時には食欲が少し落ちていること、そして時折呼吸が早いと感じることを飼い主様が訴えられました。そこで、レントゲン検査を実施したところ、肺が一部白く見え、超音波検査も行いました。この結果から、肺が捻れてしまう『肺葉捻転』の疑いが浮上しました。確定診断のため、近隣のセンターでCT検査を行った結果、肺葉捻転が確定しました。写真(CT)の丸のところが捻れてしまった肺になります。
その後、大学の先生に来ていただき、当院にて緊急の手術を実施しました。手術では、ねじれてしまった肺を切除しました。幸いにも、その後は元気を取り戻し、無事に退院してくれました!!
肺葉捻転はあまり多く見られる病気ではありませんが、ペキニーズさんのような短頭種ではみられることが多いです。今回のケースでは、飼い主様が「呼吸が早い」と気づいてくださったおかげで、早期にレントゲンを撮ることができ、問題を発見することができました。
呼吸が早いといった症状は、他にもさまざまな病気が考えられますので、少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
ペキニーズさんが元気を取り戻してくれたことに、私たちも大変嬉しく思っております。
同じ症状の記事
-
呼吸がゼーハーしているという事で4歳の猫ちゃんが来院されました。 お話を聞くと、一回吐いた後からとの事でした。 レントゲンを撮ってみると、肺に一部白...
2020.12.21
-
今回は、16歳のミニチュア・ダックスのワンちゃんです。 2,3日前から呼吸が荒いとの事で来院されました。 レントゲンを撮ってみると、所々肺に白い部分...
2020.11.13
-
今回は、心臓のまわりに液体が貯まってしまったワンちゃんのお話です。 15歳のラブラドールレトリバーのワンちゃんが、お腹が急に張ってきたとの事で来院されまし...
2014.01.07
-
循環器(心臓病など)のお話
(心臓病など)近年、獣医療の発展により動物の寿命ものび、それに伴い心臓疾患も増加傾向にあります。
初期の心臓病では、症状がないことも多く、身体検査にて初めて心臓病の存在が疑われることがありますので、定期的な診察をお勧めしております。また、ワンちゃんやネコちゃん...つづきを読む
-
腫瘍科(がん)のお話
(がん)近年、ワンちゃん・ネコちゃんの腫瘍の病気が増えてきています。動物の世界でも平均寿命が延びてきていて、高齢化により腫瘍ができる可能性が増えていることが、一番の理由と考えられています。 また、獣医療の進歩や、飼い主様の健康管理や病気予防の意識の高まりに...
つづきを読む
飼い主さまの声